
・Stable Diffusionのネガティブプロンプトの使い方を知りたい
・生成した画像にある不要な要素を排除したい
という方に向けた記事になります。
Stable Diffusionのプロンプトは、AIに対して生成してほしい要素を伝えるための入力テキスト(指示文)です。
一方で、ネガティブプロンプトは、生成してほしくない要素を伝えるためのテキスト(指示文)です。
ネガティブプロンプトを活用することで、画像内で不要な要素を削除・クオリティを高くするなど、よりイメージに近い画像生成が可能になります。
本記事では、「Stable Diffusionのネガティブプロンプト一覧と作成のコツ」について詳しく解説します。



想定したイメージに近い画像生成ができるよう、画像付きで分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください!


Stable Diffusionのネガティブプロンプトとは?


Stable Diffusionは画像生成AIのひとつで、ユーザが入力したテキスト(=プロンプト)をもとにAIが画像を生成するツールです。
ただし、ユーザーが意図しない要素が混入する場合もあり、完成度を高めるには不要な要素を制御する必要があります。そこで利用されるのがネガティブプロンプトです。
ネガティブプロンプトは「生成したくない要素」「除外したいイメージ」を指定して、モデルがそれらを排除するよう指示する仕組みです。
公式ドキュメントでもプロンプト設計の重要性が強調されており、ネガティブプロンプトを適切に設定することで意図どおりのビジュアルを得やすくなります。
- Prompt(プロンプト):生成したい要素、欲しいイメージを指定
- Negative Prompt(ネガティブプロンプト):生成したくない要素、除外したいイメージを指定
プロンプトと併せてネガティブプロンプトを上手く活用して、クオリティ・品質の高い、イメージ通りの画像を生成していきましょう!
ネガティブプロンプトを使うメリット
ネガティブプロンプトを使う最大の利点は、不要な要素を減らすことで生成画像のクオリティを向上させられる点です。
たとえば、キャラクターの服装や背景に合わない要素が勝手に追加されていても、「含めたくない項目」を明確に設定すれば除外しやすくなります。結果として構図が統一され、作品全体の完成度が高まります。
さらに、ネガティブプロンプトを追加することで余計な要素が減り、目的のアウトプットに早く到達しやすいため、生成時間やリソースの効率にも寄与します。
ネガティブプロンプトの基本的な書き方
ネガティブプロンプトは生成したくない要素を並べて組合せて作成します。それぞれの要素の間は「カンマ(,)」で区切ります。



「カンマ(,)」の後ろは半角スペースを入れます。
Stable Diffusion WebUIではネガティブプロンプト欄が設けられており、そこに除外対象を入力する形式になっています。


ポジティブプロンプトとの整合性がとれているか確認を行い、「本当に外すべき要素」を過不足なく入れることがポイントです。言葉を曖昧にしないことで想定外の要素を抑制しやすくなります。
Stable Diffusionのネガティブプロンプト一覧


実際に使われることが多いネガティブプロンプト例を一覧形式で紹介します。
特定の要素を排除するフレーズを組み合わせて活用することで、作品のイメージに近づきやすくなるでしょう。
自分の用途に合うものを探す際は、完成画像との比較を行いながら調整していくことが必要です。単語の順序やスペルの微妙な違いによって結果が変わることもあるため、複数回試してみることをおすすめします。
品質向上に役立つネガティブプロンプト
プロンプト | 内容説明 |
---|---|
blurry | ぼやけている |
grainy | 粒子の粗い |
lowres | 低画質 |
bokeh | ピンボケ |
low quality | 低品質 |
worst quality | 最悪の品質 |
ugly | 醜い |
low resolution | 低解像度 |
out of focus | ピントが合っていない |
画像全体のクオリティを上げたいときに使われるネガティブプロンプトとして「blurry」「grainy」「lowres」「bokeh」などが挙げられます。
これらのキーワードをネガティブプロンプトに指定することで、ぼやけた質感や低解像度感の抑制を狙いやすくなります。



低品質な画像を避け、高品質な画像が生成されやすくなります。
nsfwを避けるネガティブプロンプト
プロンプト | 内容説明 |
---|---|
nsfw(Not Safe For Work) | 性的描写(不適切なコンテンツ) |
explicit | 露骨な |
nudity | ヌード |
gore / blood | 血 |
violence | 暴力 |
nipples | 乳首 |
pubic hair | 陰毛 |
bare navel | へそ出し |
exposed skin | 露出した肌 |
公序良俗に反する要素や成人向け表現を回避したいときは「nsfw」「explicit」「nudity」「gore」「violence」などを除外ワードとして設定するのが一般的です。
実際、SNSやポートフォリオサイトに投稿する際はこれらの要素を含むとトラブルにつながる恐れがあるため、ネガティブプロンプトの活用が推奨されています。
海外では「suggestive」や「sexual content」なども一緒に使われるケースが多いです。また、単に除外ワードを追加するだけでなく、ポジティブプロンプトの段階で健全な文脈を強調するとさらに効果を高められます。
手や指の欠損・作画崩壊を防ぐネガティブプロンプト
プロンプト | 内容説明 |
---|---|
disfigured | 外観が損なわれた、醜くなった |
missing fingers | 指の欠損 |
deformed hands | 変形した手 |
extra limbs | 余分な手足 |
bad anatomy | 不正確な人体構造 |
long neck | 長い首 |
missing arms | 腕が欠けている |
extra arms | 追加の腕 |
bad hands | 手の形が不自然 |
Stable Diffusionでは、手や指などの細かい部分がうまく描画されないことがあります。
手や指の欠損・作画崩壊を防ぐためによく用いられるのが「disfigured」「missing fingers」「deformed hands」「extra limbs」といったネガティブプロンプトです。
これらを設定しておくことで、モデルが明らかな人体崩壊を回避しようとし、ある程度は自然な仕上がりに近づきます。
しかし、これだけで常に完璧に描けるわけではなく、プロンプトに「realistic hands」や「detailed fingers」などを指定して補うのが望ましいです。描画精度はモデルのバージョンにも左右されるので、複数バージョンを比較するのがおすすめです。
特定のスタイル・背景を避けるネガティブプロンプト
プロンプト | 内容説明 |
---|---|
cartoon / comic | 漫画 |
anime style | アニメ調 |
realistic | リアル調 |
sketch | スケッチ画 |
watercolor | 水彩画 |
monochrome | モノクロ |
oil painting | 油絵 |
retro | レトロ |
flat color | 平板な色 |
絵柄がアニメ調になりがちなモデルをリアル路線に寄せたい場合や、逆にリアルすぎる描写を避けたい場合は、「cartoon」「anime style」「comic」といったスタイル関連の単語を除外対象に入れます。



アニメ風のイラストを得意とするモデルで「anime style」を使用してもあまり効かないなど、モデルによって相性はあります。
背景に関しても「forest」「cityscape」「night sky」など、意図しない環境要素が入るのを嫌う際にネガティブプロンプトとして指定するケースが多いです。
また、プロンプトで「modern interior」や「bright landscape」などを強調することで、さらに方向性をはっきりさせることができ、より理想に近い背景や雰囲気を作りやすくなります。
特定の表情を避けるネガティブプロンプト
プロンプト | 内容説明 |
---|---|
angry face | 怒った顔 |
sad expression | 悲しい表情 |
smiling | 笑顔 |
crying | 泣いている |
makeup | 化粧 |
open mouth | 口を開ける |
half-open eyes | 半開きの目 |
closed mouth | 閉じた口 |
blush | 顔を赤らめる |
「angry face」「sad expression」「smiling」「crying」といった特定の感情表現を除外することで、イメージに近い表情のキャラクターが生成されやすくなります。
たとえばクールな印象のキャラクターを描きたい場合は、笑顔や涙などのワードをネガティブプロンプトに設定します。
ただし、表情に関する単語は幅広く、微妙なニュアンスがあるため、複数の表現方法を組み合わせて書くほうが効果的です。さらに、プロンプトに「neutral expression」「serious face」などを指定すると相乗効果が得やすくなります。
分割生成を防ぐネガティブプロンプト
プロンプト | 内容説明 |
---|---|
cropped | 切り取られた |
split image / split view | 画像分割 |
fragmented | 断片化した |
multiple angle | 複数の角度 |
grid view | グリッド表示 |
two shot | 二人の人物が同じ画面 |
画像の一部が極端に切れたり、全体が複数のパーツに見えるような作画崩壊を避けるためには「cropped」「split image」「fragmented」などのフレーズを追加すると有効です。
AIが意図せずに画面を二分割や三分割してしまう場合があります。そうした事態を減らすために、「split composition」のように構図の分断を示す単語もネガティブプロンプトに指定するとよいでしょう。
背景やキャラクターの全体像を一枚絵として描きたい場合は、プロンプトで「full body」や「wide shot」などを指定し、ネガティブ側で分割要素を避けると、より自然なレイアウトになりやすいです。
テキストやロゴを除外するネガティブプロンプト
プロンプト | 内容説明 |
---|---|
text | テキスト |
logo | ロゴ |
watermark | 透かし |
signature | サイン |
username | ユーザー名 |
artist name | アーティスト名 |
stamp | スタンプ |
date | 日付 |
画像に余計な文字やロゴが映り込むのを防ぎたい場合は「text」「logo」「watermark」「signature」のような単語をネガティブプロンプトに指定するのが良いです。
AIモデルが学習データの影響で無関係な文字列を自動挿入してしまう事例が報告されています。このようなとき、ネガティブプロンプトで該当キーワードを指定すると、不要な文字要素が表示されにくくなります。
さらに、プロンプトで「clean background」や「plain design」を強調すると、よりシンプルな仕上がりを期待できます。
Stable Diffusionのネガティブプロンプト作成のコツ


Stable Diffusion WebUIでネガティブプロンプトを作成するコツは以下の通りです。
- 追加しすぎない
- 除外する要素を明確に記載する
- EmbeddingやLoRAを活用する
一つずつ見ていきます。
コツ1:追加しすぎない
ネガティブプロンプトにあれもこれもとキーワードを詰め込みすぎると、かえって生成結果が不安定になることがあります。
モデルが過度に制限を受け、逆に想定外の要素が浮き彫りになるケースもあるのです。少ない単語でも十分に効果を発揮することがあり、むしろ適度な絞り込みが重要です。
最初は汎用的な除外ワードを数個設定し、結果を見ながら微調整していくと効率的です。
また、重複した意味の単語をたくさん追加するよりは、影響力が大きいものを厳選する方が効果的です。
コツ2:除外する要素を明確に記載する
ネガティブプロンプトで曖昧な単語を使うと、モデルはどの程度排除すべきか判断しきれず、中途半端な結果を出す場合があります。
たとえば「ugly」など抽象的な表現よりも、「bad anatomy」や「blurry background」のように具体的にどの要素が問題なのかを示すほうが効果的です。
特定の色や質感を避けたい場合は「green color」「metallic texture」などといった具体的な表現にすると良いです。



どんな要素を排除するかを明確に定義するほどイメージに近い仕上がりが期待できます。
コツ3:EmbeddingやLoRAを活用する
より高度な手法として、Embedding(学習済みの単語ベクトル)やLoRA(軽量学習モデル)を組み合わせるテクニックが注目されています。
これらを活用すると、特定の絵柄やスタイルを強く排除したり、逆に限定的に取り込んだりすることが可能になります。
Embeddingを使えば抽象的な概念をより正確に指定できるため、「非現実的な光沢」や「異形の輪郭」などの繊細な制御が行いやすくなります。
LoRAは特定のスタイルやキャラクターに焦点を当てた軽量モデルで、ネガティブプロンプトと組み合わせることで「このモデルの特徴だけは除きたい」というニッチな要望にも対応可能です。
Stable Diffusionのネガティブプロンプトに関するよくある質問


Stable Diffusionのネガティブプロンプトに関するよくある質問に回答します。
ネガティブプロンプトが効かない場合はある?
はい、ネガティブプロンプトの効果が薄かったり無視される場合があります。モデルのバージョンや学習データの特性が原因となるケースもあり、完全には制御しきれない要素が残っているのです。
特に、大きく学習されたモデルの場合は多種多様なイメージを生成するため、単純なキーワードだけでは完全に排除しきれない場合もあります。
そのようなときは、ネガティブプロンプトを細分化してより多くの関連ワードを入れるか、ポジティブプロンプトをより明確にして望む方向性を強めるなど、試行錯誤してみましょう。
除外する要素を強調することは可能?
ネガティブプロンプトは、同じ単語を複数回入れたり、強調記号や重み付けを利用したりして、その除外度合いを高めることができます。
たとえば「(cartoon style:1.2)」のように数値を用いる手法が知られており、これによって特定のスタイルを強く排除することが可能です。
一方で、過度に除外を強化しすぎると他の要素にも影響が及び、思わぬ崩れが発生する可能性があるため注意が必要です。適度な加減を見極めながら設定しましょう。
よくある失敗例とその原因は?
一つは、ネガティブプロンプトの設定が抽象的すぎて具体的に何を除外したいのか不明瞭なケースです。「ugly」などの定義があいまいな単語ばかりを入れると、モデルが対処しきれずに混乱する恐れがあります。
もう一つは、プロンプトとの整合性が取れていないケースです。ネガティブプロンプトで外そうとしている要素が、プロンプトで別の単語で部分的に要求されていると矛盾が生じ、結果が不安定になりがちだといわれています。
加えて、過度な除外による制約が多すぎて、モデルが「生成すべき要素」を理解できなくなる場合も失敗の一因です。調整を重ねながらバランスを探ることが大切でしょう。
まとめ:Stable Diffusionのネガティブプロンプト一覧
「Stable Diffusionのネガティブプロンプト一覧と作成のコツ」について解説しました。
ネガティブプロンプトは、Stable Diffusionで不要な要素やスタイルを除外し、より狙いどおりの画像を生成するために欠かせない手段です。
品質向上に関するネガティブプロンプトや手足の作画崩壊を防ぐネガティブプロンプトなど、汎用的な単語から追加していくのがおすすめです。
画像生成をして、不要な要素を取り除いていく…これを何度か繰り返して、イメージ通りの画像に近づけていきましょう!
手順を振り返りたい方は以下のリンクより飛べます。
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